なお、中部圏についてさらに言及すると、歴史が培った国際性と言う地域個性を貴重な資源として活用することにより、アジアをはじめ世界に貢献できる人材を育成し、海外の国々に対し人材の育成や確保面での協力・支援に取り組むべきである。つまり、その実践により、名実ともに、わが国の国際的役割を積極的に担いうる地域としていくことが肝要である。また、中部圏は、国内外に、伝統文化その他の地域個性を的確に発信できる人材をいかに育成・確保するかも問われている。
(4) “基地依存型経済”及び観光・リゾート
1998年度、沖縄での高校生の大学進学率は27.7%であり、大学生新規卒業者のうち大学は出たが就職できない(しない)無業者が36.4%をも占めている。こうした数字の背後には、県内就職希望者が多いことにもよるが、経済の停滞による雇用状況の悪さ、大学卒業者を必要とする事業所の少なさ、と言った現実がある。事実、29歳以下の失業率について、1998年のデータを全国との比較でみると、15〜19歳層は全国10.6%・沖縄25.0%、20〜24歳層は全国7.1%・沖縄15.9%、25〜29歳層は全国5.6%・沖縄11.4%で、沖縄の高さが目立っている。だが、大卒者の3割6分もが職がない状況は、大学・短大・専門学校などのあり方について、課題を残すものであり、産業振興とリンクした人材育成にどう取り組むか、ということが重要になってくる。
全国平均75%前後という県民所得の低さが、沖縄の産業経済を語るうえで、必ず引き合いに出される。やや抽象的な言い方になるが、本土との比較の視点で考えると、所得水準に限らず、諸々のことがその数字の枠内で動いている感がするのが沖縄の現状と言っても過言でなかろう。ただし、沖縄の場合、所得水準の低さイコール生活レベルの低さとは言いがたい点に留意すべきである。冬の暖かさ、肉類の店頭価格や自動車の自賠責保険料などが本土の約6割と言った物価の安さ、集落での助け合いの伝統などを考慮すると、生活水準が低いとは決して言えない。