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なお、学習ニーズの高まりの背景を探ると、一つには、めまぐるしい社会変化の波の中で方向を見失わずに時代に即応して生活を維持するためには、大学などを卒業するまでの間に学校で取得した知識や技術のみでは対応できない困難な時代になってきているからである。

そして、いま一つには、意識や生活行動の多様化・個性化の進行を背景とし、個々人の自己実現を目指した学習ニーズが高まってきていることによる。つまり、もの・金・地位を求める立身出世を目的とした明治以来の学歴偏重の社会構造が、新しい価値観によって大きく変化し、新しい社会システムのニーズに合致した知識や技術すなわち自らを磨く・ブラッシュアップするための学習が求められている。

以上のような学習ニーズの高まりに対応して、沖縄においても、大学をはじめとする既存の教育機関が社会人の受け入れや市町村の生涯学習事業への協力などが積極的に取り組まれている。しかし、さまざまな動機と目的による学習ニーズに対応していくためには、今日の学校教育システムの中でのみ人材育成のための機会や場を考えるのでなく、新たなシステムの構築も検討されるべきである。既存の学校教育システム自体も、今日、大学での教育と研究の機能のあり方が問われているように、変革を求められている。

 

(3) 豊かな国際性を育む素地

沖縄は、住民を巻き込んだ悲惨な地上戦をわが国で唯一経験した地域である。そして、県土面積の約11%を米軍基地が占めていることが、社会状況を語るうえで、まず、第一の特性となっている。米軍基地を頼りとしたいわゆる“基地経済”のもと、今日まで推移してきている。

 

 

 

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