このように、沖縄は、美しい自然と住みやすい気候風土に恵まれているとともに、思いやりや支え合いと言った地域社会の風土のもと、福祉や健康づくり、伝統文化・芸能の継承及び発信、教育文化、産業経済その他さまざまな国際交流、人的・平和的な国際貢献等々の拡充による地域づくりに取り組むうえで、きわめて有利な地域特性を備えている。このためには、沖縄の伝統や有利性に着目し、再生・活用する視点や実践が大切にされなければならないし、住民自らが自立性、自律性、主体性などをよりいっそう高めることを求められている、と言えよう。そうした有利性を認識しつつ、また、踏まえつつ、日々の生活の中で、考え行動する住民をいかに増やしていくかが、今後の地域づくりの重要な鍵であると思われる。したがって、こうした意味での支援や人材育成への取組の強化が、まずなされるべき基本的な前提条件である。
例えば、情報化時代に対応するため情報技術の人材を、高齢化の進行に備えるため保健・医療・福祉の人材を、と言うように、時代の趨勢をにらみつつ、公民が連携して、育成に取り組む必要があることは否めない。が、しかし、今日的地域状況やごく近い将来を考慮しての具体的目標を持ったそれらの分野での人材育成の前提として、自立性、自律性、主体性などに溢れる住民像創造への取組を欠くことができない。
(2) 生涯にわたって学習する機会や場へのニーズの高まり
そうした住民像に一歩一歩近づくためには、生まれてから死に至るまで学習することにより、心豊かに生涯を過ごすための行動を一人一人の住民が実践してはじめて可能性が拓ける。今日、幼稚園から専門学校・短大・大学までの教育機関での教育を受けることにより、自らの学習が終了したとは、誰もが言い難くなってきているし、さらなる学習の機会や場へのニーズがますます高まっている。現に、沖縄においても、市町村の生涯学習事業や三線・琉球舞踊・民謡などの伝統芸能関連の習い事教室のみならず、さまざまなカルチャースクールなどが賑わっているし、学習や趣味などの集まり・グループを多々見受けることができる。米軍基地内の大学などの高等教育機関もそうした多様なニーズを充足するために活用されている。