このため、行政の意思表示の明確化に加え、地域住民などにも自助努力、住民主導の気持ちをもってもらう必要がある。また歴史・文化を活かしたまちづくりには、地元企業や地元の歴史研究者、建築家など専門的な職能の人材の参加や協力が不可欠であり、さらに資金的・技術的な側面からは、旧池田地域を愛する市民や市外の人々の協力や支援も重要である。
こうした観点から、地域住民・行政・企業などが情報を共有し、共通の認識を前提とした、きめ細かな情報・意見交換の場を介し、公民一体となったまちづくりに取組むものとする。
当面は、市民・地域住民や専門家などに広く呼びかけを行い、本調査研究にあたって実施した地域住民懇談会、若者懇談会などを発展させる形で、市民や地域住民が中心となって、対話の機会を設け、共に考え、検討を進めていく。このような中から、地域のまちづくり活動のリーダーとなる人材も発掘されるものと期待される。
(2) シナリオに基づき段階的に取組む
パートナーシップに基づく協働的な取組みを進める場合、いきなりハードな事業や新たなイベントを行うことは適切でなく、「できること」、「小さなこと」からスタートし、次の段階へとつなげていくというスタンスが重要である。
このため、住民・事業者・行政のパートナーシップによるまちづくりを進めるための具体的なシナリオを組み立てる。ここでは、具体事業の展開の芽をみるまでの取組みを「立ち上がり期」とし、この段階の四つの骨組みを次に示す。
1] 行政のまちづくりスタンスの周知と基礎調査の充実
まずは、「歴史・文化を大切にしていく」、「市民や地域住民参加のもとに公民一体となってまちづくりを進める」という、本市のまちづくりの基本的な姿勢を市民に周知徹底する。このため、本調査研究で定めたまちの目標像をはじめ、行政の取組み姿勢を広くPRしていく。
これと同時に、まちの現状や伝統的な家屋の調査など基礎的・専門的な調査を充実し、課題を明らかにしておくことが望まれる。