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3 取組みの基本姿勢

 

まちの目標像の実現に向けては、歴史・文化資源を活用しつつ、現状における様々なまちづくりの課題を解決していく必要がある。その解決にあたっては、行政が一方的に行うことは不可能であるばかりか、住民の望むまちづくりを進めるうえからも、地域住民や企業、関係者との協働のもとに取組みを進めることが重要と考えられる。特に本市は、近世において行政とは一定の距離をおいた民衆の知恵・力がまちの歴史・文化をつくってきた経緯がある。

文化を育み、支えるには資金面も重要であり、中世から近世においては池田氏や酒造業者などの旦那衆、近代においては小林一三などが後援者としての役割を果たし、池田の文化を支えていた。現在このような強力な影響力や資金をもつ主体は極めて少ない。また行政は、地域文化振興に向けての基盤や条件の整備の面で役割を担う。したがって、新たな文化を育むためには、民間資金や行政に頼るだけではなく、地域住民同士の協力、市民と行政と企業などの協働が重要となる。

まちの目標像を実現するための課題としては、本市民がまちづくりは自らが考えるという認識をもち、行政は市民参加の機会を用意するとともに市民が責任ある判断を行えるよう情報の提供・公開を行い、市民と行政が相互に関連しながら計画を決めていくシステムをつくることを挙げることができる。この課題を解決するためには、まず市民の行動を促す仕掛けづくりが必要である。

このため、まちの目標像を実現するための取組みの基本姿勢として、第一に住民・事業者・行政の「パートナーシップで進める」こと、第二に「シナリオに基づき段階的に取組むこと」を提案する。

 

(1) パートナーシップで進める

歴史・文化資源の多くは、個人の資産や地域団体の行事であり、その保全や活用は、地域住民などの意向に左右されるところが大きい。しかし、地域住民も自らのまちを自分たちの手でつくるという意識を育むことが求められる。

一方、行政にあっては、総合計画などで歴史・文化を活かしたまちづくりに対する大きな方針を示してはいるものの、市民や地域住民にはその考えが充分浸透しているとは言い難い状況にあり、一部の関係者から指定文化財保存などに関する費用について補助がないことに対して不満の声も聞かれる。

 

 

 

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