日本財団 図書館


第5章 まちづくりの目標と基本方針

 

1 まちづくりに向けての歴史・文化資源活用の視点

 

現況調査や地域住民意向の把握からは、旧池田地域には豊富な歴史・文化資源がありながら、地元の人々も歴史・文化資源をあまり意識していない状況を指摘できる。これは当地域では日常生活に直接的な影響のある道路整備や商店街活性化などに対する関心が高く、「歴史・文化資源」の活用にまで想いが至らないためと考えられる。

しかし、先進事例や最近の中心市街地活性化の潮流に鑑みると、地域のアイデンティティをつくりつつ、まちの様々な課題を解決しようとする試みが行われている。その代表的なものが、地域固有の歴史・文化資源の活用であるといえる。

まちづくりに取組んでいる先進事例などを参考にすると、歴史・文化資源活用の視点は、1]忘れ去られていた歴史的なものや場を復元・修理して活用する「再生」の視点、2]現在まで受け継がれている祭りなどをしっかりと受け継いでいく「継承」の視点、3]近代的な感覚を取り入れながら将来歴史的遺産となるような新しいものやイベントを創る「創造」の視点、4]点在する歴史・文化資源を魅力ある歩行者空間でつないだり、祭りとイベントの同時開催などによりまちの個性や活力を一層高める「連携」の視点という四つに整理できる。そこで、この四つの視点をもとに、調査対象地域の歴史・文化資源を活かしたまちづくりに向けての対応の方向と具体的な対象例を以下に示す。

なお、具体的な対象例に掲げたものの詳細については、巻末の「参考資料2]-1 歴史・文化資源一覧表」を参照されたい。

 

062-1.gif

(注1)

インスタントラーメンの記念館として、1999年11月に日清スポーツ振興財団が市内に開設した。インスタントラーメン(即席めん)は、昭和33年(1958年)、現在の同財団の会長である安藤百福氏が池田市内で開発したことから、池田市はインスタントラーメン発祥の地といわれている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION