イ 遺存度は大きな問題ではない
今をときめく滋賀県長浜市の黒壁を中心とするまちづくりも、出発当初は遺存度も悪く、商店街も閑古鳥が鳴く状態であった。歴史・文化資源の遺存度・集積度は重要なファクターではあるが、それぞれの状況に応じてのまちづくりが進められており、決定的な問題ではない。長浜市、彦根市の例ではほとんどが新築で歴史的な建物の再生を図っている。
ウ まちづくりの出発点は分かりやすいテーマで
棚からぼた餅はない−地域の実情にあったまちづくりの展開−
最も重要なまちづくりの出発点は、一つの建物の保存運動等から始まる例が多く、分かりやすく住民の力を結集できるテーマの選択が重要となっている。
先進事例に学ぶにあたっては、「棚からぼた餅」のようにそのまま利用できる事例は存在しないことを予め認識すべきである。各事例とも長い時間をかけて苦労して取組まれており、本市においても、じっくりと住民とともに進めていくことが大切であろう。
エ 住民の自主的なまちづくりの重要性
行政主導とされている場合も住民の自主的なまちづくりと連動しているものが多い。特に、地域の活性化と結びついているものは、地元の自主的なまちづくりがべースとなっている。
オ 住民の活動に対する行政の役割の変化
行政主導で施設整備や事業補助を実施して市民に利活用させるという行政完結型ではなく、行政が住民の活動にあわせて制度の適用や支援の仕組みをつくり、地域の特性を活かして創意工夫を図るなど、行政と住民の二人三脚型の展開となっている。