■逸翁美術館、池田文庫
池田城跡の南、五月山山ろくの能勢街道に沿った静かな住宅街の中に、逸翁美術館と池田文庫が建っている。
逸翁美術館は、阪急東宝グループの創始者で、後に商工大臣を努めた小林一三(逸翁)氏の住居をそのまま美術館として昭和32年に開館したもので、氏が生涯に集めた美術品が収蔵、展示されている。5000点あまりの収蔵品は古筆、古経、絵巻、絵画、日本及び中国の漆工芸や陶磁器など多岐に渡り、国の重要文化財も多く含まれている。特に蕪村や呉春、円山四条派のコレクションが有名である。建物は氏が「雅俗山荘」と称し約10年間住んだ洋館建築で、庭や茶室を有し、静かで落ち着いた風情を醸し出している。茶室は現在も利用されている。
昭和24年開館した池田文庫には、主に文芸や演劇関係の蔵書が集められ、その数は11万冊を超える。近代文学の珍しいコレクションなど貴重な資料が保管されており、小林一三氏の寄贈も多い。また大正3年の初演から現在までの宝塚歌劇の台本やポスター、創業当時からの阪急電鉄の資料や広告、歌舞伎の芝居絵看板などが所蔵・展示されている。昭和58年に近代的建物に建て替えられ、逸翁美術館とは一味違った趣を呈している。