また、当該地域(700ha)の地権者は農家が大半であり、地権者向けのアンケート調査結果でも、積極的推進を望む地権者の割合は低く、行政(市)による開発への協力を挙げる地権者の割合が高い。このため、地元住民の開発意欲の涵養が課題となっている。
(エ) 千葉北インターチェンジ(千葉市)
昭和57年の「千葉市核都市整備基本構想調査」では、千葉市の開発構想として、1]千葉港中央地区背後地再開発構想、2]幕張新都心再開発構想、3]千葉急行沿線新都市開発構想、4]下総丘陵新都市開発構想、5]都川上流域複合都市開発構想、6]御成台研究学園都市開発構想、7]東部総合レクリエーション開発構想、8]千葉北インターチェンジ周辺地区開発構想の8大プロジェクトを示している。(図表2-6)
このうち、“千葉北インターチェンジ周辺地区開発”は、IC周辺地区を物流拠点として整備することが提言され、平成2年頃まで千葉市や住宅整備公団が調査を行うかたちで検討がすすめられた。
このときに構想された整備計画の内容は、以下の通りである。
・計画位置及び開発規模.....千葉北インター東側の市街化調整区域の200ha
・導入機能.....................................物流機能(100ha)、工業・住宅(100ha)
・整備期間.....................................平成12〜22年
・事業の狙い................................1]都心部の道路混雑の改善や都市整備用地の創出、2]内陸部の発展促進(発展核づくり、首都圏東部地区の物流拠点、物流の国際化への対応、内陸部の工業化の促進、職住近接型の都市形成)、3]市街地内部に分散する物流業の育成
・流通業務市街地の整備に関する法律の調整費調査のモデル地区となった
“千葉北インターチェンジ周辺地区開発”は、地域の条件が物流企業側の地域条件への要請と合わなくなったため、その実現は不可能と見られ、市の「第6次5カ年計画(H8〜12)」から位置づけを外され、「新総合ビジョン(2001〜2015)」においても位置づけをしない方針となっている(なお、8大プロジェクトの内の残りの7プロジェクトは事業済みまたは事業推進中である)。
総合計画のなかでの位置づけが外された要因は5点と考えられる。なお、計画予定地域の現況は、開発行為の規制緩和によってスプロールが進み、倉庫や資材置き場を中心として若干の住宅や工場が存在している。また、計画予定地の隣接地では、民間企業の面開発(機能的には流通機能を対象としている)が行われている。
第1には、計画当初はバブルの時期で既成市街地への開発圧力が高く、既成市街地や臨海部で行われていた物流業務を郊外地に移し、跡地を都市整備に活用するという考え方であった。しかし、バブルが崩壊した後は既成市街地サイドでの用地需要圧力が低下した。押し出し側の力が弱まってきている。