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STSに関する最近の研究レポートによれば(図表4-14の出典参照)、STSは「移動制約者を対象とした、乗合または貸し切りの地域内公共交通機関」と定義され、その範囲は図表4-14の太い一点破線で示されている。交通モードとしての位置づけからすれば、自家用車などの私的交通手段と公共大量輸送機関の中間に位置し、部分的には公共個別交通機関としてのタクシーと輸送分担領域を重複しつつも、対象者を「移動制約者」に限定することによって独自のカテゴリーを形成している、ということができる。

STSのサービス形態は、図表4-15のように「ドア・ツウ・ドア型サービス」と「定時定路線型サービス」とに大別されている。

 

図表4-15 STSのサービス形態からみた分類

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資料:「スペシャルトランスポートサービスに関する調査研究報告書」

平成11年3月(財)運輸政策研究機構より作成

 

いずれにしろ、わが国では、このような輸送サービスについて、利用者及び交通事業者ともに十分な経験とノウハウを有しておらず、一部に導入を図っている自治体や、社会福祉協議会・ボランティア団体などが運行している地域があるものの、現段階では交通事業としては未だ軌道に乗っていない状況と認識されており、運輸省がスペシャル・トランスポート・サービスに関する調査研究を進め、モデル事業に着手した段階である。

高齢者在宅福祉サービスの一環としての「移送」サービスを「外出支援サービス」へと拡張していく場合に、整備すべき新規サービス・システムのモデルないし参考事例として、以下に国内における「STS」の概念に該当する移送サービスの取組動向を概観することとした。

 

(ア) 国及び自治体での取組

 

1] STSのモデル運行

運輸省は平成10年度に、東京・三鷹市(人口約16万6千人)と北海道・栗山町(人口約1万6千人)でSTSのモデル運行を行った。三鷹市では、24人乗り(うち車イス2席)リフト付き小型バス2台による「定時定路線型」STS(2ルート)、及び移送ボランティア団体のリフト付きワゴン車など6台を主力にタクシー会社3社の福祉タクシー車輌数台を加えた「ドア・ツー・ドア型」STSを、それぞれ3週間実施した。

 

 

 

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