また、栗山町では、わが国初の中型ノンステップバス(定員56人、うち車イス2席)1台による町内循環2ルートの「定時定路線型」STSを3週間実施した。本格実施に向けたさまざまな課題が抽出されたなかで、営業路線バスの運行が縮小されている栗山町での乗車実績が予想以上に高く、住民の間での継続希望があったことが注目される。
2] 運輸省のリフト付き福祉タクシー車輌購入補助
運輸省は、平成11年度の第2次補正予算要求において、介護保険制度導入による福祉施設や医療施設等への通所サービス等の確保を目的として、高齢者や障害者などが目的地まで容易に移動できるリフト付き福祉タクシー車輌購入費の一部を補助するため2億円を計上した。
3] 規制緩和による新規システム開発促進の可能性
運輸省は、規制緩和による運送事業者の事業機会の創造をねらいとして、道路運送法の大幅改正の準備を進めている。上記のSTSモデル運行の実施に際しても、現行の道路運送法による事業者免許等の縛りに配慮がされているが、この現行法が潜在する外出(移動)ニーズに柔軟に対応するシステムの実現を妨げていることは否定できないところであり、規制緩和による新規移送サービス・システムの実現可能性に対する期待は少なくない。
(イ) 社会福祉協議会・ボランティア団体の取組
社会福祉協議会やボランティア団体による「移動制約者」を対象とした「移送サービス」は、「ハンディキャブ」の名称で1970年代から開始されたが、1980年代前半までは全国でも実施団体はきわめて限られていた。1990年代に入って実施主体が急増し、現在では約1,500の団体が実施しているとされている。
これらの団体のサービスは、主に「障害者」の社会参加促進を主な目的として発展してきた経緯があるが、近年に至り、高齢者福祉の観点も含めた取組が増えてきている。
「ハンディキャブ」サービスの展開の制約要因となっているのは、やはり道路運送法の事業者認可基準であり、旅客事業免許取得を回避するため、利用者の範囲を会員に限定するなどの対応を図っているのが実状のようである。
(ウ) 民間企業の取組
民間企業における、行政サービス以外の外出支援(移送)サービスに対する取組としては、図表4-16のようなタイプがある。これらサービスの実現の背景には、さまざまなタイプの「福祉車輌」を開発・製造する自動車メーカ等の取組があるが、その動向については前節でふれたので、ここでは割愛する。