イ 調理形態・調理施設等の変更
現行採用システムの改善が困難であるか、または改善効果が乏しいと予想される場合には、調理形態や調理施設等の変更を検討せざるを得ない。
現行システムが、市販の完成食や、ボランティアによる手作り的な食事である場合には、地域内の学校給食施設や特別養護老人ホーム、老人保健施設等の調理機能の活用が有力な代替案となる。
病人食などの特別食への対応能力がさらに高いという点では、病院の調理機能を担う院内調理施設あるいは病院がアウトソーシング(業務の外部委託)している病院給食の専門業者がある。地域資源の活用という観点からは、まずは地域内あるいは近隣地域に立地する病院等の調理機能の活用を追求すべきであろう。
このほかの選択肢としては、特別食についてのみ、加工食品で対応する、という方法が考えられる。
―事例―
(株)プリンセスでは成人病用食のレトルトパックを郵送または宅配便で配達。
朝食と夕食の1セットのエネルギー量は1,100kcal、塩分は食塩換算量4g前後といったメニューで、一ヶ月の献立予定(メニューとカロリー表示〉を提示して予約をとる方式採用。
なお、検討課題の1]と2]の両方に関わり、かつ一日に3食の宅配にも応じるシステムを構築している民間企業の事例を、参考のため以下に示す。
―事例―
(株)ドクターフーヅは一日2回・3食の調理食宅配システム採用。昼食及び夕食・朝食のセット(いずれも当日の調理食)を各1回・計2回宅配する(このため・調理拠点からの宅配(営業)範囲は広域ではあるが、一定地域内に限られる)。
メニューは、保健食、老人食・胃腸食、ダイエット食、高血圧食、糖尿病食、膵臓食・腎臓食、肝臓食と豊富である。利用者は、栄養士とメニューを相談の上、15日間または30日間の予定食数を申し込む。
創業者自らが毎日サービスを受け、メニュー内容や食べやすさをチェックしている。
セット料金の1食当たり単価(ただし、H8年時点)は以下のとおり。