このように、緑化が果たす単なるCO2吸収・固定源としての寄与率は低いが、緑化には、生態系の維持、大気浄化、雨水流出抑制、レクリエーション空間、景観の向上等の総合的機能、環境教育の教材としての啓発的機能等、さまざまな役割があることを忘れてはならない。
また、この事業そのものは、必要不可欠な廃棄物最終処分場を緑化することで、住民の理解や協力を得るとともに、公園として整備するという目的もあり、今後、地方公共団体の活用が望まれる。
(4)おわりに
地方公共団体は、地域づくりの推進者として、温室効果ガスの排出抑制に資する取組とともに、植林、里山林の整備、緑化運動の推進等の森林の保全及び整備や、都市緑化等の二酸化炭素吸収源の保全及び強化に資する取組を進めていく必要がある。
「地球温暖化防止に向けた地方公共団体の取組に関するアンケート結果」では、森林の保全・整備が約6割、市街地緑化の推進が約5割の実施率となっている。市街地緑化の推進に関しては、市町村の人口規模が大きくなるにつれ、その実施率は高まり、人口5万人以上の市では、8割を超す実施率となっている。また、公用・公共施設の緑化推進も約7割の実施率となっている。
これら施策が、地球温暖化防止のためだけに行われているとは言えないし、地域事情や財政事情等が多分に影響していると思われる。しかしながら、緑化の持つ意味やその重要性をさらに普及・啓発し、緑化の取組が拡充されることは、住民の環境問題への意識の向上に寄与し、それが最終的にはC02の排出抑制へとつながるライフスタイルの変化へと発展する。
地方公共団体の地球温暖化防止の取組は、地域の自然的・社会的特性に応じて、とるべき施策を判断するべきであり、都市部での取組と山間部での取組は、自ずと違いがある。発生源対策という視点に立てば、CO2排出量の圧倒的に多い都市部での緑化の取組が意味を持つと考えられる。
参考文献
吉澤境(1999)「地球温暖化対策緑地整備事業」『グリーンエイジ』310.33-37
森村耕一(1998)「緑化樹木によるCO2固定量の推定について」『都市緑化技術』30.22-25