これは、特に近年、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出状況を見ても示唆されており、一般家庭やオフィスビル等の民生部門からの排出量の増加が顕著であり、民生部門における取組がきわめて重要となっている。このように我々の日常の生活に起因する環境負荷が、環境問題の様々な分野で影響を及ぼすようになってきており、「ライフスタイルを環境に配慮したものに変えていく必要がある。」と繰り返し言われる所以である。
民生部門における取組の中心は「ライフスタイルの変革」を進めていくことであるが、民生部門に対しては従前までの「規制的手法」では有効な対策が期待できないと考えられ、専らその具体的手法をどうしていくかが主な課題となっている。しかしながら、市民のライフスタイルに関わる施策は環境情報の提供等、市民への普及啓発施策が中心であり、地球温暖化問題やオゾン層の破壊等の個別分野については、それぞれの施策の中に内包されており、個別施策と市民のライフスタイル全体との関連が明確にされておらず施策として体系化されていないのが現状でである。
このような中で、1つの方法として市民や事業者、環境NGOとの「パートナーシップによる取組」が特に求められている。この「市民参加型」、「市民提案型」の「パートナーシップによる取組」については現在、「環境分野」に関わらず「まちづくり」や「福祉」等、各行政分野で一般的になりつつあるが、充分な広がりになっていないのが現状である。
本市ではいわゆるローカルアジェンダとして「京(みやこ)のアジェンダ21」を策定し、さらにこれを推進する組織として「京(みやこ)のアジェンダ21フォーラム」を設立してきた。本フォーラムは、単なる行政組織ではなく広く市民や事業者の参加を得て、それぞれが同じ立場で責任を持って発言していく、まさに「パートナーシップ」による取組を推進していく組織であり、全国に先駆けたものである。現在、それぞれの役割のもと市民が主役となった取組、企業が中心となった提案等いくつかの取組が進められている。なお、本市にはごみの分野においても同様に「京都市ごみ減量推進会議」という組織があり、ごみの減量に向けた具体的取組を展開している。
このように、今後の環境問題の解決に向けては、市民や事業者の参加と役割分担、環境NGOとの連携・協調が必要であると考えるが、現状まだまだ課題が多く、本フォーラムの活動を通じてより充実させていきたい。
イ 予算的側面
(ア)余分な経費とみられる「環境対策費」
ここ数年の厳しい財政状況の中、我が国の地球環境関係に関する予算状況をみると一貫して増額傾向にある。また、各省庁が予算確保に向けて「環境」をキーワードにしているとともに各種の施策展開において「環境」を相当意識していることからも我が国において「環境問題」の重要性が高まってきているものと考えられる。
一方、自治体内部の予算面では、「環境問題」の重要性は認識されているものの、省エネルギー対策や環境対策での施設整備は、余分に経費がかかり過ぎると判断され、なかなか認めてもらえない。