(イ)管理部局としての環境局
本市では平成10年4月の組織改革において新たに「環境局」が発足した。環境局は従前まで公害防止等の環境行政を所管してきた「環境保全室」と廃棄物処理等の清掃事業を所管してきた「清掃局」とを統一したものであり、本市においては事業局の筆頭局としても位置づけられているところである。これは、清掃事業の方から見ると、環境行政部門と一緒になったことにより、今までは単にごみを収集し、中間処理・処分しているだけであったものが、地球温暖化の防止というような視点も踏まえた意識の変化が見られつつあり前進的な結果になったものと考えられる。本市で平成11年6月に策定した「新京都市一般廃棄物(ごみ)処理基本計画」において、ごみの処理量を2010年度までに1997年度レベルから15%削減するという他都市に例をみない積極的な目標を掲げられたことも1つの成果である。
しかしながら、「環境」という側面で見ると、事業局という部分に埋没してしまう嫌いがあり、地球温暖化問題等に求められている組織横断的な「管理統括的」な役割が十分担えていないのが現状である。
地球温暖化問題やごみ問題といった環境問題は、我々のあらゆる活動に起因していることから、すべての活動において環境の観点からのアプローチが必要になってくる。地方自治体も例外ではなく、本来環境関連部局だけでなく、各部局全般にわたるすべての事務事業の中で「環境」の観点を踏まえた政策決定、実施が必要である。
環境基本法の制定後、本市においては環境基本条例の制定をはじめ、新京都市環境管理計画や地球温暖化対策地域推進計画等を策定し、総合的な環境施策の展開を目指している。これら各種の計画の実効性を高めていくためには、環境局が主体となって各局の事務事業をチェックするなどの進行管理を図っていくことが不可欠である。特に地球温暖化対策は、環境局あるいは環境に携わる部局だけで解決できるものではなく、各部局全般の事務事業の中でそれぞれが主体となって実施すべき部分が多々あることから、今後、環境局には各部局をリード、支援していくことが強く求められる。そのためにも公害防止行政からの発展的な脱却が必要であり、まず環境行政に携わる我々自身の意識改革を図らなければならない。また一方で個別の事業を環境面からチェックするシステムの構築を早急に検討していく必要がある。
(ウ)規制行政から協働的取組への展開
従前の公害型環境問題が被害者と加害者の関係が明確であったことに対して、今日の環境問題は一人ひとりが被害者であるとともに加害者でもあるという特徴を示しているとおり、地球温暖化に代表される地球環境問題は我々の日常生活のあらゆる活動に起因している。