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第2に、他の3つの在宅ケア関連の試算では、ホームヘルプサービス(表4)が要介護痴呆性老人・在宅虚弱老人とプラスの相関を示し、ショートステイ(表5)と老人訪問看護サービス(表6)が寝たきり老人・在宅虚弱老人とプラスの相関を、逆に要介護痴呆性老人とマイナスの相関を示していた。こうした結果が興味深いといえるのは、すでに指摘したように、寝たきり老人・要介護痴呆性老人・在宅虚弱老人のいずれもが、それぞれのサービス目標値の算定要因に考慮されているはずだからである。

こうした結果が出た理由をこの段階で解釈するとすれば、1つには、ここでの分析が、サービス水準や対象となる老人数に対して直接回帰する形でなく、高齢者数に対する比率をとって規模による相関を排除する形で行ったところにあるといえるかもしれない。2つ目として、各自治体が、ホームヘルプサービス、ショートステイ、老人訪問看護サービスの対象者たる高齢者を微妙に区別して、また現行のサービス水準を斟酌して達成可能な目標水準に修正して「老人保健福祉計画」を立ててきた、という理解の仕方もありえる。いずれにせよ、この点の解明は今後の課題である。

次に、都市規模要因についてであるが、ここで分析対象とした自治体が関東4都県であることを踏まえても、そこに大都市から小規模町村までが含まれていることを考えると、推定結果には興味深い点がある。全体を通して、自治体の人口(POP)および面積(AREA)の大きさは、施設ベッド数と有意な関係(人口規模がマイナス、面積規模がプラス)を示していたが、在宅ケア・サービスとは明確な関係を示さなかった。他方で、人口密度(DENS)はホームヘルプ・サービスとプラス、ショートステイおよび老人訪問看護サービスとマイナスの関係を示していた。これは、いずれのサービスが都市部であるいは地方部でより充実しているのかという実態を反映した結果であったといえるのではないか。

財政力要因をみた1人当たり地方税収(PTAX)は、いずれのケースでも有意な効果を示さなかった。このことは、高齢者ケア・サービスの目標水準が、とりあえず自治体の自主財源には影響を受けずに計画されていることを示唆しているといえる。その他の地域特性要因については、すでに説明したような結果を超えて、さらに趨勢的な関係を見出すまでには至らなかった。

最後に1点、今回の試算で考慮しきれなかった点として、各県ごとのダミー変数を考慮できなかった点をあげることができる。たとえば、寝たきり老人1人がホームヘルプサービスを週何回必要とし、ショートステイを年何回利用するかといった、目標水準算定の根拠となる個々の目標ニーズは、基本的に県によって与えられているからである。県ごとのダミー変数を入れることで、県の間の格差をコントロールすることが必要であるかもしれない。

 

 

 

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