エ 表4の推定結果
ホームヘルプサービス対象者総人数(高齢者1人当たりの値、RHOME)に関する推定結果をみていこう。まず決定係数については0.20前後を示している。ニーズ要因に関しては、要介護痴呆性老人(ROLD3)と在宅虚弱老人(ROLD4)(いずれも高齢者に占める比率)が有意に表れており、とくに前者の効果が大きい。これは予想された結果と言えるが、むしろ寝たきり老人比率(ROLD2)の効果が、プラスではあるものの有意に得られていないことが意外である。なぜなら、ホームヘルプサービスの目標値の算定においては、寝たきり老人数も要介護痴呆性老人数と同じウエイトで考慮されているはずだからである。また絶対数でみれば、ホームヘルプサービス対象者の約3分の2は寝たきり老人ということができる。したがって、こうした結果が出た理由については、なお検討が必要である。
都市規模要因では、人口密度がプラスで有意に表れており、都市部ほど高齢者1人当たりのサービス対象者総人数は多いことになる。地域特性では、1世帯当たり家族数(FAMILY)がマイナスに表れており、平均家族数の少ない地域ほど高齢者1人当たりのサービス対象者総人数も多くなっている。各自治体が「老人保健福祉計画」を策定するために実施したアンケート調査の中では、家族への依存の程度(介護力)が質問されており、それも算定に際してウエイト付けして考慮される。つまり自治体が独自にサービス目標値を設定した際に、その点を斟酌した可能性も窺われる。
オ 表5の推定結果
ショートステイ対象者総人数(高齢者1人当たりの値、RSTAY)に関する推定結果は、先に述べたように、この試算全体で最も高い決定係数(約0.7)を示していた。各説明変数の効果をみていくと、決定係数が高い理由の大半はニーズ要因で説明できそうである。寝たきり老人比率(ROLD2)と在宅虚弱老人比率(ROLD4)の効果がプラスで、とくに前者が大きな値と有意性を示している。
他方で、要介護痴呆性老人比率(ROLD3)がマイナスで有意に表れているのは予想外である。なぜなら、ショートステイの目標値の算定においても、要介護痴呆性老人の数が寝たきり老人と同じウエイトで考慮に入れられているはずだからである。また高齢者人口比率(RPOP65)もマイナスで有意に表れている。