第2章 情報公開
1 はじめに
行政機関が保有する情報公開については、地方公共団体が先駆けとなり、様々な取組が行われてきたが、このたび、国においても法律が制定され、情報公開の取組は、新たな段階を迎えている。
一方で、近年の急速な情報通信技術の革新は、行政情報に関する「保存」「検索」「加工」を格段と容易にし、さらにはインターネット技術の進歩により、行政と住民とのインタラクティブ(双方向)なコミュニケーションを低コストで可能とする状況にある。
本章では、このような地方公共団体を取り巻く環境において、情報公開の有する今日的な意義について検討を行うこととする。
2 情報公開の意義
(1) 情報公開の基本的考え方
いわゆる「情報公開」とされるものは、以下の3段階に分類することができる。
ア 公開:公共情報を住民に進んで提供して見せること。
イ 開示:住民の請求に対して見せること。
ウ 説明:なぜこうなるのかという質問に対して説明すること。
今更ながら「なぜ情報公開が必要なのか」という問いについては、それが民主主義の基盤的制度であり、開かれた議論が公共性というものの中身をつくり出して鍛え上げるという信念に基づいたものであると考える。ポイントを図示すれば、以下のとおりとなろう。
ア 政治言説をまっとうなものにする。
STEP1 → 情報公開によって、話し手の誠実性を確保する。
(虚偽・詐術・隠蔽の抑止力)
STEP2 → 話し手の誠実性により、聞き手の誠実性を確保する。
(まっとうな言説として受け止める情況設定)