評価においても、予算との関連が非常に重要であり、予算による資源配分に結びつかないと評価はうまくいかず、予算への反映に比例して評価が使われる頻度は上がる。しかし、予算が獲得できれば終わり、として評価が予算の下の資料にしかならない問題が生じるおそれがあり、これが評価-予算ジレンマとなる。
(3) 「評価」を活かすための制度的条件
こうしたジレンマの問題について、どのような制度的条件があれば、評価という制度を活かすことが出来るか。その条件としては、以下の3つが考えられる。その際、当然ではあるが、事業評価は、財政部門、人事・組織部門との関連が深いので、組織内での連携を取りながら検討する必要がある。
ア 結果重視の前提となる自由度の付与
結果をもって判断される以上、結果を出すまでの行動の自由度を高めることが必要ではないか。単なる「評価損」となるような、自由な判断行動をさせずにおいて評価して、うまくいかない責任を当事者だけがとらされる、という状況を生み出さないことが必要であり、そのためには、予算編成システムの中長期的な変更や組織内部の資源配分方法を変更する等、組織のあり方に自由度を与え、自主的に経営させることを基本として、その結果を評価するという制度に変える必要があるのではないか。
イ 評価のサイクルの確立
毎年度の予算編成に行政評価が色彩を添えるだけでなく、翌年度の執行、翌々年度での決算、議会への報告という一連のサイクルについて、翌年度の予算編成には当該年度に報告された決算も踏まえるような、仕組みとしての評価のサイクルを確立することが必要である。これにより評価が単年度の予算編成の道具となるだけで終わらず、また、見込み段階の数字だけの使用といったことにもならないで、評価制度の有効なフィードバックが図られるのではないか。
ウ 「評価」の評価
ア、イに掲げる評価を活かすための制度的条件はそのまま、NPMという新しい公共管理論の考えに沿った組織のあり方となる。つまり、小さな単位を設け、そこに経営即ち予算編成等を委ねる。そして、結果で勝負し、評価されることとなる。
NPMが今後、様々な場面で行政におけるグローバルスタンダードとも言うべき存在になる可能性がある。NPMを標榜するのであれば、こうした自由な経営と評価の仕組みをもった組織に改革していくこととなる。こうした要素を如何に活用していくか、行政評価制度の構築を通じて、日本の地方行政は一つの岐路に立っている。