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ウ 外部評価の必要性・正当性

政策評価を外部評価として行う場合、地方公共団体には議会という民主的統制機関が設置されているので、それにもかかわらず実施する組織論的な必要性が問われる。現時点では、監査等の仕組みがありながら形骸化しているという批判を踏まえ、より広く外部の意見を採り入れながら行政を行っていく点にメリットが見いだされているのであろう。本来、時代の変化に適応するために施策のスクラップアンドビルドが毎年度行われるはずが、行われていない現状があり、首長は、政策評価導入を契機に職員の意識改革を行い、政策優先付けの妥当性を高めたいという意図が強いようである。

NPMの考え方では、上位の組織は、下位の組織が持つ情報を公開させて民間のように競争させることでより良いサービスを提供させることができるとする。しかし、現在各地で行われている政策評価は、客観的な組織間の競争条件の設定とは捉えられておらず、あくまで行政の内部作業の正当性を向上させる手段としての位置づけが強い。

外部評価の導入は、民主的統制機関である議会の頭越しに政策を評価することが許される正当性の論拠は何か、という問題を伴うが、現在の各地の事例では、執行部が内部で議論、調整、評価したものを議会に諮るという原則を崩しているものではないようである。

 

5 これからの政策評価

 

(1) 政策評価の可能性

1960〜70年代にビジョン・長期計画策定の有用性が言われたが、現在の評価体系も同様の仕組みで作られるものと考える。つまり、「事務事業」を寄せ集めて「施策」とし、さらに施策を「施策」として体系づけ、「長期計画」を樹立する中で評価することになる。このとき、計画について言われた、行政組織内部において財政部門主導か企画部門主導かという「計画-予算ジレンマ」と同様の問題が生じるのではないか。

 

(2) 評価-予算ジレンマ

計画においては、中長期的に計画を裏付ける予算が担保されている方がよく、計画として見込んだ将来の修正幅はよりすくない方が良い計画とされる。ここで、複数年度にわたり、的確に行政活動を推進する方法として計画を立てるものの、予算の査定を行う財政側は、長期的な制約を厭い、1年毎で整理しようとし、行政の行動において予算という発想と計画という発想とではバッテイングが生じる。

 

 

 

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