(ウ) 何を評価の指標とするかが難しいこと。
客観的なデータがなく、住民満足度として情緒的なアンケート調査を行うようでは、当該データの有効性に疑問が生じる。既存データの加工で得られる情報を指標に活用することが必要であり、こうしたデータの活用は、外部コンサルティング会社よりも、実務に携わる地方公共団体職員の方が長けている。
(エ) 予算との関係のあり方
評価と予算との関連がない場合、評価の導入は簡単でも各部局のインセンティブが働かず、すぐに廃れる可能性がある。一方、予算と関連させる場合、各部局のインセンティブは働くが、予算査定スケジュールとの兼ね合いで、評価数値が見込み値だけとなるおそれがある等、関連付けの方策には慎重な検討が必要である。
(オ) 行政活動評価を行う目的の明確化
評価を具体的にどのように次につなげるのか、といったビジョンがないと、せっかくの評価が宙に浮くこととなる。
1] 公開することで、議会や住民に対するアカウンタビリティを確保する場合には、前記(イ)の課題(政策・指標等の分かりやすさ)を克服しないと目的が果たせない。
2] 内部管理の人事評価や内部的な資源配分に関連させる場合、政策評価自体がそこまでの精度があるかという課題が生じる。
3] 財政部門において、政策評価を支出削減に活用する場合には、アカウンタビリティの確保を目的とした100以下程度の大括りにしたわかりやすい指標ではなく、A市が作成した1,100からなる事務事業毎の指標による評価など個々の事業の削減が可能となるよりきめ細かい指標を用いた評価とすることが最も重要な点である。
4] 職員の意識改革・向上のために行う場合、当初はショック療法としての効果があっても、現在のように段々と多くの地方公共団体で実施されるようになると、その意義が減ってくるのではないかと思われる。
(3) 政策評価の課題
これまで、地方公共団体の政策評価の導入状況や具体的なA市における取組を見てきたところであるが、以上を踏まえて、今後、地方公共団体において政策評価を活用するためにはどのような課題があるのか、検討を行う。