3. 業界実態調査のまとめ
業界アンケート調査、業界インタビュー調査の結果、船腹量需給バランス、新造船需要の現状及び展望について以下のようにまとめられる。
(1)内航輸送量
内航輸送量は景気低迷、荷主の物流合理化、スワップ取り引き拡大、業界再編等により減少してきたが、現在の状況が底であり、今後徐々に回復する。ただし、石油輸送は引き続き停滞する。
(2)船腹バランス
内航海運暫定措置実施により船腹量の過剰感はある程度緩和された。但し、過剰感解消にはさらに2年程度の時間が必要であるとされている。船種別には一般貨物船では既に一部で需給が逼迫しつつある半面、油送船は依然として船腹量が2割程度過剰である。
(3)新造船建造量減少の要因
ここ数年の新造船建造量減少の要因は次の通りである。
1]海運物流量の減少
(荷主業界の物流合理化、スワップ取引拡大、業界再編等による)
2]運賃の低下
(荷主企業の物流費削減の動き、輸入品圧力等による)
3]資金調達難
(営業権の廃止による担保価値喪失等による)
4]バブル経済期の過剰建造の反動
5]リプレイス期間の延長
6]制度変更による混乱
(暫定措置への移行)
(4)今後の新造船需要の展望
(3)で指摘した建造量減少の要因のうち、1]から5]はいずれも底を打っており、新造船需要は回復に転じよう。ポイントは1]海運物流量の回復、2]運賃水準の回復である。業界の全般的な見方としては新造船需要回復は緩やかものである、回復までには今後3-5年の時間が必要であるとしている。同時に、回復しても従前の水準までの回復は難しいとしている。
船種別には、一般貨物船では2000年秋頃から回復するという見方がある半面、油送船の見通しは悲観的である。
さらに6]で示したように暫定措置の今後の動向が需要に影響を及ぼすとの見方もあり、注目される。(2003年3月以降の解撤交付金期限以降の動き、暫定措置変更の可能性)