また、一部では暫定措置の今後の動向が需要に影響を及ぼすとの見方もある。(1]平成15年3月以降の解撤交付金期限以降の動き、2)暫定措置変更の可能性)
・建造需要が本格的に回復するには5年程度かかろう。船舶建造需要回復のためには、1)景気回復により海運物流量が増加すること、2)適正運賃への回復がなされること、が条件。(A社:一般貨物船)
・海運運賃が上昇しない限り、新造船建造は難しい。(B社:一般貨物船)
・タンカーの新造船需要は2年後には底を打つであろう。(C社:油送船)
・荷主の物流合理化計画が一段落する3-5年後には、通常のスクラップ・アンド・ビルドのかたちに戻るであろう。(E社:セメント船)
・海運運賃が回復するまでは新造船需要の回復は期待できない。回復しても従来並みの水準までの回復は見込めない。平成15年3月以降は船齢15年以上の船舶には解撤交付金が支払われない。この時点が新造船需要回復の分岐点。(F社:油送船)
・内航新造船の需要は、リプレイス期間延長により今後5年位はあまり回復しないであろう。(J社:一般貨物船)
・船主が造らない要因の一つに「暫定措置が大幅に変更するのではないか」との期待がある。(L社:一般貨物船)
・市中銀行からの借り入れによる新造船建造が増えているのは新造船需要が上向き始めた証拠である。一般貨物船の建造は2000年秋頃から回復基調になろう。但し、需要回復の速度は緩やかなものであり、爆発的な回復は期待できない。(M社:一般貨物船)
8]船種・船型の変化
RO/RO船、フェリーについては肯定的な見解と否定的な見解に分かれている。特に否定的な見解については、陸上施設の隘路との見解が目立つ。
他方、船舶の大型化についても賛否が分かれている。大型化の必要性については理解されているものの、陸上施設の隘路、輸送ロットの確保が、大型化推進のネックとなっている。199G/Tクラスは減少するものの、499G/Tクラスは上級移行せずにそのまま残存するとの見方が強い。
(RO/RO船、フェリー増加に肯定的な見解)
・今後は物流合理化に結びつくRO/RO船が増加しよう。(B社:一般貨物船)
・バラ積み分野では一般貨物船に対するフェリー、RO/RO船の優位性が高まっている。(D社:特殊タンク船、一般貨物船)