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輸送量減少、運賃下落ともに影響が大きいが、どちらの影響が大きいかは一概には言えない。

 

・輸送量が1年間で2割程度落ち込んだ。運賃も数%下落したが、運賃の下落よりも輸送量の落込みがより深刻。(A社:一般貨物船)

・高炉メーカー間で生産拠点相互利用、スワップの拡大により海上輸送量は減少。(B社:一般貨物船)

・電力エネルギー政策の転換による石油依存度の低下、電力需要の伸び悩みにより黒油輸送が大きく減少(C社:油送船)

・化学品の海上輸送は、無機ケミカル、有機ケミカルとも横ばいないし微減。生産量の減少と、企業合併や業務提携による輸送経路の短縮による。東南アジア産製品の輸入圧力を受けており、メーカーのコスト削減圧力が強い。(D社:特殊タンク船、一般貨物船)

・セメント業界では相当以前からスワップ取引が行われていた。業界再編も既に最終局面にある。(E社:セメント船)

・海運輸送量減少より、輸送距離の短縮、運賃の下落の影響が大きい。(F社:油送船)

・鉄鋼、石油、石化、セメント等の全てが低迷。荷主の物流提携、スワップ、業界再編による。(F社:油送船)

・雑貨は過当競争で運賃が大幅に低下してきてきる。(H社:各種船種)

 

2]海上輸送量の将来展望

いずれの船種とも、業界構造変化が顕著であり、景気が回復しても海上輸送量が回復すると見る向きは多くない。

 

・鋼材輸送は粗鋼生産量の回復がない限り、回復は難しい。(B社:一般貨物船)

・暫定措置により船舶の解撤が進むが、輸送量自体は今後減少する恐れが高い。(C社:油送船)

・景気が回復しても輸送量拡大は期待できない。(D社:特殊タンク船、一般貨物船)

・今後の輸送量はプラス要因とマイナス要因がある。総合的には横ばい。(E社:セメント船)

・従来とは異なり、景気が回復しても輸送量が回復する保証はない。物流合理化の動きが顕著。(G社:特殊タンク船、セメント船、油送船)

・今後は、内航船で運搬する鉄鋼や貨物は減少しよう。(J社:一般貨物船)

・内航船の景気の回復は、常に一般市況の回復よりも遅れるため、暫くは回復しないだろう。(L社:一般貨物船)

 

 

 

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