3. 研究結果
(1) 空気流量およびEGR設定条件
付図3に空気流量、EGR率、および掃気温度の設定条件を示す。
(2) 性能
付図4にNOx濃度(13%02換算)、正味燃費、排煙濃度、筒内最高圧の性能計測結果を示す。
(3) シリンダライナ温度
付図5にシリンダライナ温度計測結果を示す。トップリングTDC上方65mmとトップリングTDC位置の温度は周方向の平均を示している。
(4) ピストンリング摩耗
付図6にピストンリング摩耗の計測結果を示す。EGR試験時にはトップリングの摩耗量が標準試験時に比べ平均で60%増加する一方、2ndリングの摩耗量は標準試験時より減少し、3rdリングと4thリングの摩耗量は標準試験時とほぼ同等である。
EGR時にトップリングの摩耗量が増加したのは、燃焼室で発生する燃焼残さが増加するため、これがトップリングとシリンダライナとの摺動部に影響したことによると推定される。EGR時に2ndリングの摩耗量が減少した原因は明確ではないが、次のようなことを予測している。すなわち、ピストントップランドの燃焼残さ堆積物が増加した結果、燃焼室とトップリングの下側の差圧が増加する一方、2ndリング前後の差圧が低下して2ndリングをシリンダライナへ押しつける力が減少したと考えられる。
(5) シリンダライナ摩耗
付図7にシリンダライナ摩耗の計測結果を示す。標準試験時とEGR試験時の摩耗量にほとんど差は認めらない。
(6) ばいじん除去技術
付図8にタンカーのイナートガスシステムに使用されている海水スクラバーの概念図を示す。付図9に海水スクラバーにSOx除去率を示す。ばいじんについても、粒径100μm以上の固形分については除去率90%以上とされている。