日本財団 図書館


EGRによる低NOx舶用ディーゼル機関の信頼性確保の調査研究

 

三菱重工業株式会社

 

1. 目的

 

2000年より舶用ディーゼル機関から排出されるNOxに規制が適用される予定になっており、対応策の一つとして小形高速機関で実績のあるEGR(排ガスの再循環)が非常に有効であると考えられる。しかし、高い信頼性を要求される舶用ディーゼル機関では、シリンダ内に粗悪油燃焼に伴う汚い排ガスを導入することにより燃焼室の汚れやピストンリング・シリンダライナ摺動面の潤滑状態の悪化などが懸念される。そこで、EGR実施時のシリンダ内の状況を把握して問題点を明らかにするとともに、排ガス中のばいじん除去方法を調査して潤滑条件適正化の方策を立案する。

 

2. 実施内容

 

2-1. 実施項目

 

(1) ばいじん量増加、機関性能の予測

大形舶用ディーゼル機関へのEGRおよび各種NOx低減策実施時の機関性能について文献収集を実施し、NOx低減率と燃費のペナルティを調査した。

 

(2) 潤滑性能調査

単筒実験機EGR試験により燃焼室汚れおよびピストンリング摩耗量を評価するとともにNOx、燃費の評価も行った。

 

(3) ばいじん除去技術の調査

海水スクラバ内の排ガス流れおよびスプレーノズル仕様によるばいじん除去率向上策を文献調査により立案した。

 

2-2. 実施内容

 

(1) ばいじん量増加、機関性能の予測

これまでに実施された大形舶用ディーゼルのEGR時のNOx低減率、燃費増加率、排煙増加を調査した。付図1にシリンダ径70cmの機関の結果を示す。

 

(2) 潤滑性能調査

単筒機関を使用してEGRシステムを製作し、汚れおよびピストンリングとシリンダライナの摩耗量を評価するとともにNOx、燃費、排煙濃度の評価も行った。付表1に供試機関諸元、付図2にEGRシステムを示す。

試験ケースはEGRを行わない標準の条件とEGR率約30%の2ケースにつき行った。付表2に使用したC重油燃料、付表3にシリンダ油の性状を示す。

計測項目は、ピストンリング摩耗量、リンダライナ摩耗量、リンダライナ温度、燃費、排気NOx、排煙濃度、ピストンおよびシリンダライナ外観写真とした。

 

(3) ばいじん除去技術の調査

再循環ガス中に含まれるばいじんを低コストで効率的に除去する技術として、海水スクラバーが考えられる。この海水スクラバーの構成、SOx除去率、ばいじん除去率を調査した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION