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3]供試ポンプの連続試験

 

長軸支持管中央部の変位30mmの状態で、ポンプの定格点を保持しながら4時間の連続運転を行った。その際の各部の温度の変化は添付表4の「温度上昇測定結果」の通りである。なお連続運転中、振動速度及び騒音の変化は見られなかった。

 

4]供試ポンプの解放検査

 

上記試験終了後、ポンプを解放し各部品の異常の有無を検査した。その結果、シャフトに曲がりはなく、軸受・メカニカルシール・スリーブ等摩耗・掻き傷ともなく良好であった。

 

5]供試ポンプの性能と駆動長軸の解析

 

a. ポンプ性能

長軸部が潤滑油に浸漬されているため、軸と潤滑油の摩擦損失動力を極力下げるため潤滑油は低粘度のISO VG32(40℃において32cSt)を使用した。ポンプ効率は、定格点において70%を計画したが添付表2の「TEST RECORD CHART」の通り約70%となり予想通りとなった。

 

b. 長軸支持管の撓み量変化が振動及び騒音に与える影響

長軸支持管中央部をチェンブロックで強制的に撓ませて試験を行った結果、添付表3「振動測定結果」の通り、長軸支持管中央部の撓み量15〜25mmの点がX軸方向において振動両振幅値が約40μmと最も小さく、撓み量0の点が105μmと最大となった。この現象は長軸支持管の中央部に防振止めが装備されていないため、撓み量0の場合が最も振動値が大きくなったものと思われ、撓み量が5mm、10mmと大きくなるにしたがって振動値は小さくなり30mmの撓み量になると47μmと再び大きくなる傾向を示している。撓み量15〜25mmが最も振動値を下げた理由として、チェンブロックの張力が防振効果をもたらし、これに加えて長軸支持管の中に歯車式撓み継手装備の軸を2本設けたことが、軸芯の狂いを吸収して振動値を下げる有効的な働きをしたものと推定される。

長軸支持管の中央部に撓みを与えた場合、上部軸受部及び電動機上部に与える振動の影響は、撓み量0の時より若干下がって良好な結果を得ることができた。

一方、上部軸受部における騒音値は長軸支持管の撓み量に関係なく83〜84dB(A)で極めて低騒音であった。

 

c. 連続試験による各部の温度変化状態

ポンプ定格状態で、長軸支持管の中央部に30mmの撓み量を与えて4時間連続試験を実施した結果では、添付表4の「温度上昇測定結果」の通り上部軸受及び長軸支持管の温度とも40℃以下に整定しており、長軸支持管撓みによる各部の温度異常上昇はないことが分かった。

 

 

 

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