d. 解放検査
ポンプ及び長軸を解放の結果、ポンプ部品に異常はなく、長軸関係の部品についても強制撓みによる軸受、ギヤーカップリング及び軸に異常は与えないことを確認することができた。
3. 調査研究の成果
3.1 まとめ
プロダクトタンカーの各カーゴタンクに装備されるカーゴポンプは、長軸形と油圧駆動形の2種類がある。外航船の場合は、タンクの高さが14m以上になるため長軸形は駆動軸の信頼性の点から油圧駆動形が圧倒的に多く使用されてきた。このたびの長軸の接続に歯車式の撓み継手と従来の固定継手を組み合わせて使用する調査研究を実施した結果、長軸支持管を撓ませても振動値は上昇することなく期待通りの数値を得ることができ、長軸の信頼性向上に寄与できることが判明した。
駆動軸、軸受及び歯車式軸継手を潤滑油に浸漬することにより従来のカーゴ液による潤滑より遙かに寿命を延ばすことができる。
外航船のカーゴタンクの撓み量を造船所で調査したところ最大15mmであった。この調査研究により外航プロダクトタンカー及びFPSO(タンクの高さ:約30m)のカーゴポンプとしても使用できる見通しがつき、大きな成果があった。
長軸形カーゴポンプを使用することにより、油圧駆動形に比べて騒音を大幅に下げることができ、また駆動動力も削減できる大きなメリットがある。
一方、中間駆動軸及び軸受が潤滑油に浸漬しているのでストリッピング作業は、吐出弁を締切り吐出管上部から圧縮空気(又は窒素ガス)を送ることにより図1の通り吐出配管下部に設けた小配管からストリッピング液を上方に上げることができる。
3.2 今後の課題
長軸形及び油圧駆動形カーゴポンプ共ポンプの解放点検には、両者ともタンカーの甲板上に吊り上げながら解放しなければならない。ユーザーからの要求としてポンプの解放は吐出管をカーゴタンク内に残し、ポンプのみ上方に解放することが望まれている。今後の課題としてこの実現に取り組まなければならない。
以上