日本財団 図書館


2]流速の鉛直分布

図9に図6から各Stの鉛直方向について流速を読み取った鉛直分布を示す。この図から流速(密度流)が最大となる深さは、装置の吐出し位置よりも下になっている。これは上部吐出し量の方が下部よりも多く、慣性力が支配的でありその最大となる深さが下方になったからと考えられる。さらに装置から離れるにしたがい密度流が最大となる深さは、上部へと移動し自分と同じ密度層に収まる挙動を示している。これは成層流体中での密度流拡散現象をシミュレーションできることを示している。

 

3. 模型機での実験

 

3.1 実験条件

 

1]水槽

外形寸法:23m×10m×1m(図1を参照)

使用水量:約120m3

 

2]密度成層

上層塩分&密度:0.02、996.83?/m3

下層塩分&密度:0.22、998.20?/m3

密度差: 水温に換算して6℃相当

密度境界面深さ:水深12cm

塩分は、シーナル塩分濃度計NS-3P(メルバブ貿易株式会社)で計測した。

 

3]模型機

外形寸法:上下吸込口間約800mm、最大径110mm(図2を参照)

上部管内流量:2.66m3/h

下部管内流量:0.52m3/h

吐出流量:3.18m3/h

 

3.2 実験結果

 

図3に各Steについて装置稼動前、3時間後、20時間後の塩分の鉛直分布を示す。水槽内の塩分は20時間後には均一化していることが分かる。本模型機の吐出量は3.18m3/hで、総水量は約120m3であり、全体が循環するためには約38時間(=総水量/吐出量)必要であると推定されるが、実際は約半分の時間で混合が行われている。これは、密度流が周りの水を誘導し流量を増加させる連行と云われる現象であると考えられる。

図4に各Stについて鉛直方向の流速分布を示す。流速計は、電磁流速計ACM-250(アッレク電子株式会社)で計測した。装置付近で速度が最大となる深さは、ほぼ密度境界面と同じである。しかし、装置から離れるにしたがい最大速度の深さは密度境界面よりも下がっている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION