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4. 実験結果とシミュレーション結果との比較・解析と装置の最適化の検討

 

4.1 実験結果とシミュレーション結果との比較・解析

 

ここでは、各Stの流速の鉛直分布について図4の実験結果と図9のシミュレーション結果とを比較する。流速が最大となる深さは装置付近では異なった挙動を示している。これは実験計測値が時間平均化されているのに対してシミュレーションは時々刻々の状態(流れの揺らぎ)を示しているからで、異なるのは当然であると考えられる。一方、装置から離れるにしたがい両者とも同じ水深に収束し良い一致を示している。

次に、各Stでの流量について実験およびシミュレーションを比較する。密度流は360度全周に一様に流出しており、鉛直方向の流速分布からその流量を算出した。その比較表を表1に示す。絶対値に若干の違いはあるが、装置から離れるにしたがい連行により流量が増加しており、その増加率はほぼ同じである。シミュレーションでもこの現象を再現できることが分かった。また、St.5ではSt.4より流量が両者とも壁近傍の反射により減少し、実験をシミュレーションできることを示唆している。

 

表1 各Stでの流量(cm3/sec)

011-1.gif

 

4.2 装置の最適化の検討

 

実験とシミュレーションを比較・解析した結果、単純に浄化水域の水量を装置吐出量で割ることで混合時間を算出するのではなく、密度流の連行も考慮する必要があることが分かった。

ある海域に最適な装置のサイズ、必要馬力等を算出するためには、先ず水域の混合時間を決定、連行量を算出し、シミュレーションでその値になるよう装置の吐出量を変更することで可能となる。

 

5. 結論

 

1) 汎用熱流体ソフトSTAR-CDで密度流拡散シミュレーションを開発・計算し、3次元での密度流拡散の挙動をシミュレートした。

2) 密度成層させた水槽で模型機実験を行い、3次元での密度流拡散の挙動を観察・計測した。

3) 実験結果とシミュレーション結果を比較・解析し、連行現象を定量的に確認し、実験およびシミュレーションが概ね合っていることを確認した。

4) 実験の計測精度およびシミュレーションの計算精度を上げることで、正確な連行量の推定が可能になると考えられる。

 

〈以上〉

 

 

 

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