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以上、常識的なことを、しかも、極々概説した。昨秋、ボストン、バルチモァで記念船数隻訪ねた。3回目である。前2回には見なかった「警告表示」が目に入った。岸壁から舷梯に登る所に「サンダルと爪が剥きだしになった靴を履いている人はお断り」と表示してあった。事務所で質問した所、「記念船は皆古い。特に木造船はデッキがささくれ立っている所がある。サンダルや足指が覆われていない靴を履いた人が、棘を刺してPL訴訟を起こしたことがある。その対策としてこのような警告表示をするようになった。」との回答であった。PL訴訟もここまで来たかと言った感じであった。

・PL訴訟は益々厳しく、些細なものまで取上げるようになろう。

・予期しないものが出現しがちであり、情報収集に努めた方が参考になり、対策を講じ易い。

・どの程度にするかは航路特性にもよるので、船主/造船所による詳細打合わせによって具体化される事を期待したい。

 

最後に本稿は中造工「軽量化中型高速フェリーの調査研究」委員会の調査を骨子としたことをお断りして擱筆する。

 

[参考文献]

1)我が国に於けるPL法と企業の対策;住友海上火災保険(株)

2)PL法施行4年 消費者は守られたか;朝日新聞 '99.7.17.

3)米国の造船業関係のPL事故例;住友海上火災保険(株)

4)PL法施行後の現状と対応について;(株)三井海上安全技術センター

5)ボート・パーソナルウォータークラフト・船外機 取扱説明書作成に於ける警告表示ガイドライン;日本舟艇工業会

6)旅客船及びカーフェリー等で人間の動く行動範囲を限定し、各造船所のPL対策用に警告表示等した場所・理由一覧;日本中型造船工業会

 

 

 

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