3. 旅客船、カーフェリーに対する船主、乗客の意識調査;6)
3.1. 調査;
中造工「軽量化中型高速フェリーの調査研究」で、就航中の旅客船、カーフェリーを対象にして、船主及び乗客のクレーム等を調査した。詳細は省略して項目だけをあげる。
1.パイプ製の椅子及びソファーの脚が不安定である。
2.旅客用トイレ、洗面所にスカッパーを新設してほしい。現在片舷のみにあるが、船が反対舷に傾くと水が流れない。
3.ソファー及び椅子用のテーブルの床取り付け金具(ボルト式)が床面に突出している。
4.外部銅製階段の滑り止めの金具は薄く広いものにして欲しい。
5.客用舷梯の照明が不足していて、夜の乗降時足下が危ない。
6.便所入り口の扉のシールにつまずいて転んだ。
7.浴槽内の循環装置吸い込み口に尻を吸い付かれた。
8.ドアチエック付き扉及び暴露扉に指を詰めた。又、風にあおられ扉にぶつかった。
9.温水、蒸気のバルブ等にて火傷をした。
10.浴室内のガッターカバーのエッジにて怪我をした。
11.車両区画の排気ファンに着物が吸い付かれて汚れた。
12.階段裏及びテレビ台に頭をぶつけた。
13.暴露の空気抜き管頭の上に子供が上がって危険。
14.船の機器にさわって危険。(船員及び乗客両方)
15.舷門扉を乗客が勝手に開ける。
16.テンパーのガラス扉に子供がぶつかった。(設計の警告)
17.車両に潮をかぶった。
18.車両の乗り込み中、尻をこすった。
19.つまずき、転倒防止。
20.階段の傾斜を緩やかにする。
21.扉のシルハイトを極力低くする。
22.床のノンスリップ性を考慮する。
23.ストームレールの増設。
24.扉の指詰め防止。
25.コーナー部に丸みをつける。
26.カーペット固定釘が出ないよう押さえ処理。
27.寝台からの落下防止。
29.乗客がレーダマスト又は後しょうに登る。
以上のクレーム、意識等に就いては、一般的な警告表示で足りるものもあるが、事故が予想され、対策が必要な項目もある。
3.2. 調査項目に対する対策;
これ等の調査で得られた各項目について、警告表示を中心にした対策をまとめたが、纏めに当たっては船舶関係のPL法に詳しい三井海上安全技術センターの意見を得て整理された。その結果を表2に示す。