以上極々概括的な「海上安全の新しい動き」を述べてみた。
1)安全運航のシステム化;
世界的に船舶安全運航と環境保護は自己完結型(船長責任)から組織管理型(経営者責任)に転換して来た。それを効率良く進めるためにはシステム化が必須である。
a)これに従って、安全技術も従来の個別安全技術からシステム化技術へと移行しよう。
b)これ等のシステムは大規模で個人或いは単一企業ではどうすることも出来ない。何んらかの公的組織で対処しなければならない。
c)だからと言って、座して待ち、個人や企業の努力を怠ってはならない。積極的にこれ等の大規模システムに参加し、新しい動向を把握すると共にシステム完成に貢献しなければならない。
d)システム構成にはサブシステム、要素技術が不可欠であることは言うまでもない。システムに適合するように個別技術をブラッシュアップする必要もある。
2)500GT以下の船舶をどうするか;
ISMコードは2002年には500GT以上の全船舶に適用される。しかしながら、システム化し難い500GT以下の船舶にはどうしたらよいか。要救助船の海難事故の90%以上が500GT以下の船舶で占められているのである。
a)個別安全技術の適用強化
b)大規模システムで開発されたものを単純化
c)新海上使用人種に対する特別処置;
イ)陸上交通に準じた海上交通規則の新設
ロ)不沈プレジャーボートの開発
ハ)騒音防止条例の海上版
etc.
最後に少なくとも本稿に挙げた調査研究を一読されることをお勧めして擱筆する。