以上の救助率の資料から
a)他の船種に比較して漁船の救助率が低いのは距岸距離が大きいためと考えられる。
b)逆に、プレジャー・ボートの救助率が高いのは距岸距離が小さいためであろう。
c)表1.及び図1、2から非救助率及び非救助隻数%を、主な海難種類別に求めてみると[要救助船隻数%×(1−救助率)=非救助船隻数%]表6のように推定できる。
表6. 非救助隻数%の推定(%は全要救助船に対する比率)
この結果からみると、非救助率が最も高いのは、浸水、次いで火災、転覆の順である。非救助隻数%が最も高いのは、衝突であるが、これは事故隻数が多いことが最大の原因である。浸水、転覆、火災の事故隻数が低いにも拘らず、非救助隻数%が高いのは、救助が困難で救助率が低いことを端的に示していると思われる。復原性の重要因子である浸水、転覆の小計非救助隻数%が5〜6%に達することは注目に値する。
4. 要救助船のトン数別隻数比率;
前節の考察a)、b)を確認する適当な資料は手許にないが、単年の資料(H.10.1.1.〜H.10.12.31)(文献3))で推定してみる。
4.1. 海難種類別、トン数別隻数比率;
要救助船の海難種類別に総トン500Tまでのものの海難種類別の隻数比率の集計を表7にしめした。[例;「衝突」;20T未満の船舶計82.4%、全衝突隻数に対して82.4%、上記の内の漁船52.1%;82.4%を100とした時52.1%の意]
表7. 要救助船舶の海難種類別、トン数別比率(%)
[注](1)%は全要救助船に対する隻数比率
(2)漁船に対するものは該当カテゴリー船に対する比率
(3)文献3)より作った。
表7.より
a)500T未満の海難隻数比率は、合計で91.1%、爆発(67%)を除いて、他の種類別では80〜100%を占めている。
b)20T未満の海難隻数比率は、合計で77.2%、爆発(33.3%)を除いて他は59〜100%。
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