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4)以上を図示すると

 

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となり、上記ケースにおいては縦構造方式、SPACE 600/400がコスト的には最も有利となる。

横構造方式は縦構造のSPACE 600//300に較べるとコストは下がるが、約1tonの載荷重量減となる。

 

5)積載重量の大きい小型漁船の場合、サギング状態での波浪衝撃荷重による上甲板の座屈強度に留意しなければならないが、横構造方式では縦強度に寄与する部材は殆どスキン材(外板、上甲板等)であるため、このスキン材が厚くなるのはやむをえないが、その上になおかつ適当スペースのパネルブリーカーを必要とする(本検討ではスペース500mmとした)。

これらから見ると構造方式としては適切な縦横スペースの縦構造方式が有利と思われる。

 

6)横構造方式の場合、通常の肋板数本置きに特設肋板を設けなければならないが、倉内に内張りを施す場合には有効容積が深さの深い特設肋板で支配されるので、寧ろ各肋板を特設肋板とした方が有利と思われる。

 

7)上記コスト等の比較は極めて乱暴な前提、仮定の下で行っているため、これらが変われば結論も変わるかも知れない。又、材料費と工費の何れを重視するかは建造環境により変化する。一般には好況繁忙時には工数工費低減を重視し、反対に不況アイドル期には材料費圧縮を重視する。更に各企業の能率、工費単価、材料購買力等の差によっても変動する。

船体重量増-載荷重量減-速力減に対する制約が厳しくない場合にはコストミニマムの設計を行う自由度が増える。

即ち、構造設計は既成観念にとらわれることなく、常に建造環境を考慮しつつ行われることが望ましい。

 

(備考) 排水量変化に伴う速力変化の概算は次に示すJCIの計算式によることもできる。

V=0.755√L(PS/△)0.623

上式によりそれぞれの排水量につき計算し、比較する。

V : 速力(kt)

L : 長さ(m)比較であるからLOA等何れのLでも良い。

PS : 主機出力(ps)

△ : 排水量(ton)

 

 

 

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