加熱冷却によるひずみ取りの考え方は、6.2.3で述べた通りであり、Table 7.46に加熱方法の種類と特徴を示す。線状加熱は溶接ビードの裏側を焼いてひずみを取るもので、背焼きするという。松葉焼きと点焼き(お灸)はパネルのひずみ取りに用い、後者はひずみの発生している範囲に対して点(加熱)間隔60〜70mm程度、点は径約20mm程度として水冷するのがよい。格子焼きは、パネルの大きなひずみ取りに、三角焼きはビルトアップした部材のひずみ取りにそれぞれ用いられる。加熱時間などは条件によって異なるので一概にいえず、経験を伴うのはやむを得ない。Fig.7.95は、突合せ継手の加熱温度と溶接残留応力の関係50)である。ひずみを取るには、少なくとも5083-O及び同-H112合金は400℃近くまでの温度に到達することが前提となるが、火口直下を除き、周囲がその温度に達するには時間がかかる。図からみると、一点加熱よりも二点加熱、さらに繰り返し加熱の方が低い温度でひずみが取れやすいといえるが、繰り返し加熱が最も時間を要する。なお、加熱しすぎて溶けた箇所は、置きビードした後、グラインダ仕上げをすればよい。