Table 5.5 クレータ割れを試験片中央にもつティグ突合せ溶接継手の疲労強度45)


Fig.5.38 角変形をもつ5083-O合金25mm板大電流ミグ溶接継手のS-N線図37)
5.4.4 角変形
角変形は、突合せ継手やすみ肉継手に発生するが、疲労強度に及ぼす影響が検討されているのは前者である。突合せ継手における角変形は、静的強度にはそれほど影響を及ぼさないが、疲労強度の低下が著しく、余盛止端に付加的な曲げが作用するためと考えられるが、それを単独に取り出して評価することは、かなり難しい。
Fig.5.38は、5033-O合金25mm板大電流ミグ溶接継手について、角変形比d/l(dは余盛中央における角変形量、lは角変形の間隔)を0.01及び0.02とした場合*5.21のS-N線図である37)。平均応力σm=8kgf/mm2における疲労強度(応力振幅)σw(106)は、角変形なしの場合と比べてd/l=0.02で25%程度の低下となる。なお、試験片のき裂発生位置近傍のひずみ振幅の実測値εaと疲労寿命Nfは、両対数目盛でFig.5.39に示すように直線関係を持つ。これは、健全な突合せ継手及び目違いをもつ前出のFig.4.66(b)の実験点についても成立するので、測定した各εaとNfがFig.5.39に併せて表示37)してある。
*5.21 d=4mm又は8mmであり、l=400mmとして単純に角度θを求めると、d/l=0.01が1.15゚、同0.02が2.29゚である。
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