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Fig.4.63 5083-O合金12mm板ミグ溶接横継手のS-N線図59)

 

Fig.4.61(b)は、下側止端におけるアンダカットのρ'とαの関係である。ρ'が小さくなるにつれてαが大きくなり、ウェブに垂直(θ=90°)に負荷されたときの下側止端のアンダカットでは、ρ'=0.8mmでα≒7前後の応力集中を生じている。一方、アンダカットは、断面積の減少を伴うので、局部応力集中の原因となる。例えば、ρ'=3.2mmの半円型アンダカットのαは、d=1.6mmの同じρ'を持つ場合のαよりも大きい。図中の実線はd=1.6mmと一定の深さであるから、この場合はρ'の影響、すなわち、切欠としての感受性を表すことになって傾斜がきつい。これに対して、半円型アンダカットの一点鎖線は、前者よりも傾斜が緩やかである。この比較は、αに断面積の減少も関係するが、アンダカットの先端半径の影響の方が大きいことを意味している。

Fig.4.61(c)は、上・下側止端における負荷方向の影響である。最大の応力集中は垂直に負荷した場合に生じ、角度の減少と共に急速に減じて、最小値は0°方向負荷(横方向せん断)で得られる。なお、図から分かるように下側止端の方が応力集中に敏感であり、これはアンダカットの有無に関係がない。

Fig.4.63は、5083-O合金12mm板ミグ溶接突合せ継手について、アンダカットを仕上げた場合の応力比R=O及び平均応力σm=10kgf/mm2におけるS-N線図59)を示す。これらのアンダカットは現場的にグラインダで削除し、その板厚局部減少は平均5%(6%以下)、放射線透過試験等級分類は旧JIS規格(Z 3105(1973))のB級である。比較のために、余盛を同様に仕上げた(板厚局部減少が平均2%、4%以下)等級分類A〜C級健全材も示した。この結果によると、平均5%の板厚減少は、R=0の場合には疲労強度にそれほど影響しないともいえるが、σm=10kgf/mm2ではかなり顕著である。

 

 

 

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