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Fig.7.62 5083合金ミグ突合せ溶接継手の目違い比が疲労強度に及ぼす影響37)、38)

 

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Fig.7.63 防橈材の傾斜角と断面性能39)

 

(2) 突合せ継手の隙間

 

突合せ継手の隙間(ルート間隔)の許容限界は、板厚6mm以下のI型開先及び同4mm以上のV型開先で、いずれも3mm以下となっている。前出のTable7.13及び7.14と比較すればミグ溶接の場合が1mm大きいといえるが、現場施工では、2mm(以下)を目標とするのがよい。

隙間が3mmを超えて6mm未満の場合には、開先の肉盛溶接を行って開先を作り直すか、又は、一時裏当て金を用いて溶接後、裏溶接をすることが勧められているが、後者の裏当て金使用は、建付け建造では難しいことが多い。

隙間が6mm以上のときには、片側の板を150mm以上切替えの上、正規の開先をつくるようになっている。漁船の場合には、船底や船側における縦方向に配置した小骨の心距を250mmとしている例が多いから、溶接線の近接が起きる。Fig.5.16で述べたように、ミグ溶接による強度低下域は片側25mm程度であるから、60〜100mm程度の幅で切替えるのがよい。

なお、突合せ継手の角変形は、目違いの場合と同様、静的強度にはそれほど影響を及ぼさないが、疲労強度の低下が大きい30)。Table7.36では、角変形比ω/l(ω:角変形量、l:溶接線を挟む間隔)は、0.01まで許容されているが、ひずみ取りによって極力修正することが望ましい。

 

(3) T継手の隙間

 

T継手の隙間の例としては、前述の十字継手における小骨の取付けや、船首部近傍の曲線部に使用する防橈材の曲げ加工等が不備な場合に、いずれも骨と外板との間に生じる。いずれも隙間が大きければ取付け直すことが必要となるが、多少の出っ張りは、電気かんななどで修正すればよい。また、Table7.37の備考欄に示すように、隙間にライナーを差し込むときには、前項と同じ考え方で幅60〜100mm程度とし、前出のFig.5.17(b)で述べた注意を参照されたい。いずれにしても好ましいことではないので、骨組時によく注意する必要がある。

 

(4) 防橈材の取付け精度

 

アルミニウム合金船では、防橈材の取付け精度を規定したものはないが、基本は外板に垂直である。しかし、船首形状によっては、船側の防橈材を外板と垂直になるように取付けるのが難しく、場合によっては外板とのすみ肉溶接も十分にできないこともある。詳細設計と防橈材の曲げ加工技術の不備ともいえるが、斜めに取付けることによって防橈材断面性能の減少を生じ、ある角度を超える場合には断面係数の割増しが必要となる。

Fig.7.63は、6×65mmフラットバー、4×70×16/16mmバルブプレート及び200×65×6mmT型形材について、傾斜角θを90゚から45゚まで変えたときと、有効幅を考慮して5×200mmの板付きとした場合のそれぞれ断面係数比を図示したもの39)で、断面係数はsinθに沿って減少するとみなしてよい。断面係数が10%減少するのは、おおよそ傾斜角75゚であるから、これが一つの目安となる。

 

 

 

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