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Table7.37 すみ肉溶接の取付け精度33)

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(1) 目違い

 

目違いの許容限界は、突合せ継手で20%(重要強度部材、最大3mm以下)、十字継手では50%となっている。一方、アルミニウム合金製漁船構造基準(案)の解説では、前者が15%(主要部材、最大3mm以下)、後者は33.3%(=t2/3、主要部材。その他は50%)となっている。

目違い比d/t(d:目違い量、t:厚さ)が静的強度に及ぼす影響は比較的小さく、目違い比60%で継手効率88%程度であるが、光弾性実験によると応力集中率がかなり大きい35)ことに注意しなければならない。漁船の場合は、5.4.1で述べたように横肋骨方式が主で、外板等の溶接変形を防止する目的で多くの小骨を縦方向に配置する。これらが縦通していれば強度上合理的であるが、大部分のものは肋板で断切してある。この場合、肋板との固着部が荷重伝達型の十字継手となる。この継手に目違いがあると、例えば、目違い比25%で片振り疲労強度が75%程度以下となる36)。また、Fig.7.62は、目違い比が疲労強度に及ぼす影響37),38)である。疲労強度は応力集中率α=1+(3d/t)の逆数37)に沿って低下するが、これは引張応力の他に曲げ応力が作用するためである。

溶接作業者がこのような事実を認識して施工することが大切で、作業上ではかなり難しいが、目違い比を10〜20%以下となるように努力しなければならない。幾何学的形状による応力集中なので、骨材の断面性能を増やしたからといって解決するものではない。

 

*7.41 これは、軽金属溶接構造協会規格LWS Q 8101“アルミニウム合金船殻工作精度標準”である。防衛庁の委託により作成された「アルミニウム合金船こく工作精度標準(案)」33)を、一般の船舶にも使用できるように字句を一部修正したものであり、文献34)も参照されるとよい。

 

 

 

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