Photo.7.7(a)は、船側外板のミグ半自動溶接横向き姿勢における良好なビード外観である。同(b)は、ビードは良好であるが、継目が不良の例である。また、ビードの幅が部分的にやや広く見受けられる箇所が仮付け溶接の跡である。Photo.7.8は、同じく立向き並びに横向き姿勢におけるビード外観不良例を示し、前者はビード中央が高く、対策としては電圧を少し下げるか、ウイービングにおける両端の止めをごくわずか長くするのがよい。後者の横向き姿勢のビードは不揃いであり、電圧が少し低めなのと、トーチの送りを滑らかにする必要がある。
そのほかの形状不良としては、ビード幅の細すぎと太すぎ、前出のFig.7.18に示したアンダカット、Fig.7.21のオーバラッブ、寸法不良としてはFig.7.57に示すのど厚不足(insufficient throat、又はunderfill)がまれにある。
(2) すみ肉溶接
すみ肉溶接においては、脚長の指定がなければ薄い方の板厚を基準にして、それと同等にすれば静的強度上の問題はまず起こらないことを2.4.4で述べたが、注意を要するのは余盛の形状である。米国溶接協会(AWS)ではFig.7.58(a)、(b)に示すように形状を規定28)しており、図中の凸すみ肉量(convexity) cは実際の余盛面幅の0.07倍に1.5mmを足した値を超えてはならない。また、不良例が同(c)であり、寸法不良も含めて6種類が挙げられている。
現場作業でしばしば見受けられる不良例は、脚長が大きく、かつ、過大な余盛と、縦方向の脚長不足である。後者はトーチ角度の不良で、重ねて溶接することにより補修できる。問題は前者であり、一般に余盛を大きく盛れば強くなるという誤解があることを注意したい。