ここに、lはすみ肉の長さである。
τT=P/2dl=P/2×0.707sl
=0.707P/sl (1)
当て金前面すみ肉継手及び十字すみ肉継手の引張試験結果からみると、破断は脚長がウェブの板厚と同等程度以上ならばウェブ(母材)側に生じ、板厚と同等もしくはそれ未満の場合にはすみ肉溶接部に起きる。後者の引張(せん断)強さは、同じ板厚では脚長の大きい方が低くなる傾向を持つ。溶接金属の引張強さは、その化学組成と関係し、使用した溶加材と溶出した母材の溶け合ったものの強度となる。例えば、母材が5000系合金の場合、溶加材は母材よりMg量が幾分高めのものを用いるが、脚長又は溶込みが大きいほど希釈されやすくなり、強度が低くなると考えればよい。Fig.15(a)は、各種の溶加材を用いた場合のすみ肉のサイズと単位長さ当たりの引張(せん断)強さの関係36)であり、高Mg量のものを用いるほど前面すみ肉継手の強度が高くなることを示している。この図には、溶加材5183合金のデータはないが、その値は5556合金と5356合金の中間に位置するものと推定される。