4. 考 察
4.1 二次接着面のせん断強さについて
1) 二次接着面からのせん断破壊は発生しなかったので、工作法の相違についての評価はできなかった。
ダブルYノッチ試験片を用いた衝撃界面剥離試験による評価は、可能かも知れない。
2) 今回の試験の印象としては、清潔な状態で保存されたM(ガラスマット)面に対するMの二次積層は、いずれの方法でも信頼できる。
3) 普通の工場作業による積層面は、表面汚れの状況により、アセトン拭きないし軽くサンディングして汚れを除き、二次接着を行えばよい。
4.2 二次接着継手の曲げ強さについて
1) 静的3点曲げによる破断荷重は、いずれの工作法によるものも母材の曲げ破断荷重より大である。
2) 4点曲げ疲労試験による破断状況は、二次接着層末端位置よりの母材M層破断又は接着面剥離による。
3) いずれも二次接着層末端形状不良又は処理又は処理不良によるものであり、末端処理法の改善により強化されるであろう。
4.3 今後行う試験の必要性について
1) 二次接着層末端処理法の改善により曲げ強さは改善されるものであり、この研究が必要である。
2) このことは外板に対するすべてのオーバーレイ、例えばハットガーダの成形などに共通すること項であり、きわめて重要である。
3) MとMとの間の二次接着面のせん断強さは、ダブルYノッチ界面剥離試験によって解明することが可能と考えられる。
4) 全層ウェット・オン・ウェット積層は欠陥が出やすく、また積層厚さが小さくなり、強度の余裕が不足するので避けた方が良い。
5. 結 論
5.1 二次接着工作法
1) 非空気硬化性樹脂を使用し積層途中で中断した面に二次接着を行う場合は、表面汚れの状況によりアセトン拭きないしサンディングにより汚れを除き、二次接着積層を行う。
空気硬化性樹脂を使用して完全硬化した面、又は修理船等の二次接着は、まず表面に付着した油脂等を完全に洗い落とした後、サンディングにより表面のパラフィンワックス及び付着ものを完全に除去する。