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3. 結果の考察

 

スカーフ継ぎ手の評価試験は、母材と同一構成のスカーフ積層を行い、継ぎ手部が、外力に対してどれだけの効率を有するかを知ることにある。

1) 引張り試験の結果を表1に示す。破壊強度(σt)は、Sタイプ(母材)が平均値で15.2kgf/mm2と前回と比較して低くい値となった。これはタブなし試験片を用いたため、つかみ部近傍で破壊したケースが多く、試験機グリップの影響と思われる。A、Bタイプ(継ぎ手材)は、先ずスカーフ継ぎ手のオーバレイ部が剥離破壊を起こし、そこから接着層に沿って剥離が進展し、それとほぼ同時に他の層が壊れるパターンがほとんどで、継ぎ手部の板厚が母材の板厚とほぼ同等か、それ以上厚めとなり、強度もほぼ同等か、厚い分だけ低い値となった。したがって、強度保持率(η)は母材の強度値に対してA1タイプ=95%、A2タイプ=82%、B1タイプ=98%、B2タイプ=105%と良好な値を示している。

2) 4点曲げ試験は、Sタイプが表曲げのみ、A、Bタイプが表曲げ、裏曲げの2種類の試験を行った。結果を表2(表曲げ)、表3(裏曲げ)に示す。今回は、長めの試験片を用い継ぎ手積層部が内スパンの中に十分おさまる様に負荷治具をセットして試験を行った。しかし、長スパンの曲げ試験のため、たわみが大きくなり試験治具サイズの関係上破壊まで試験ができないものがでた。

スカーフ継ぎ手部の強度(σb)を、破壊した試験片について見ると、Aタイプの表曲げを除いて、8〜10kgf/mm2とかなり低い値となった。これは母材の板厚にたいしてスカーフ部積層板厚がかなり厚くなっているため、その分曲げ強度が低下したと思われる。また、破壊しない試験片について、試験片表面全体に細かいクラックが入るが、スカーフ継ぎ手部の初期破壊は起こらなかった。

各タイプの破壊様式は、スカーフ継ぎ手部の引張り側になる部位、表曲げの場合はオーバレイ端部、裏曲げの場合はスカーフ突合せ部が先ず剥離破壊を起こし、接着層に沿って剥離が進み最終破壊に至った。

 

 

 

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