ここ4半世紀、造船の自動化は、NC切断機により先導されてきた。
例えば、切断機に遅れること10年で開発されたCAD/CAM(によるオフライン・ティーチング)溶接ロボットは、さきに見た[図2.1.24 NC曲面切削]と似た構成で、(NC切断機のガーダーとキャリッジに相当する)プレーサーに同時3軸、トーチを操る多関節の腕が同時5軸のNCである。
ロボットシステムについては、後述する。
6.1.1 機器のシステム
NCシステムは、機械系と情報系が不可分に結び付いたシステムである。
これまで説明してきた数値現図システムが、すべて情報系だったのと違って、生産設備/加工機械の差が直截にシステムの内容を規制する。
(1) 切断機の形式
造船用としては[図6.1.2 NC切断機の形式]に示す2種が代表的である。
閉曲線切断機が一般的なもので、単にNCといえば、この形式のことである。板1枚並べ1本トーチが代表的であるが、2枚並べ2本トーチ搭載機種では、図のように同時同形を切ったり、一方が反転した同時対称の切断に切替えができる。制御は、レール方向X、ガーダー方向をYとする[X,Y]の同時2軸、トーチ旋回は移動方向で自動制御されるので1軸に数えない。
緩曲線切断機は外板加工用で、通常はP/S対称同時切断の開先トーチ4セットを搭載する。制御は[X,Y1,Y2]の3軸、1軸を殺しての閉曲線切断にも使える。
板1枚並べの切断機では、ワーク:作業板が正確にレール平行に設置されなくても、微小差をセンシングして、その状態で切断を行う機種がある。NC装置内で、その分NCデータを座標変換しているのである。