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表の上欄[ステップ]で: −

●[ベースデータ作成]=本書での基本データ整備を指すが、あと切直しの曲面座標変換を行うので、よく曲面定義に不足するデータ:タンジェンシーラインなどを「特異点」と称して補充しておく。

また「辺情報」とは、入力欄にある板シーム・バットの開先、伸し、溶接法の総称で、このステップで準備しておくものであったが、現在はナシ。後述の内構システム:一品CADに統合されている。

●[切直し]ステップでの「所用鋼材リスト」は、素材発注用採寸。「概略定盤配置図」は、コンピュータに画面のなかった時代の参照用で、現在は不要。

●[組立用諸計算]欄の中程「ベクトル図計算」とは、シーム板継線の組立定盤面に対する主傾斜方向を出して、自動溶接の適用範囲を判定する資料。欄最下の「単板治具N/Cテープ」とは、「曲り単板ロンジ先付け工法」を採用すべく、小組立定盤の支持ピン治具高さをNCセットする出力。いずれもソフト先行で、ハードの方は進展に至らなかったものである。

●[形状形成]ステップでの「展開補正」は、平捩りなど展開形状の振れる癖のある板の加工実績を履歴として蓄積し、精度補正する目的のものだったが、後説明する「切直しフレームによる近似測地線展開」の結果では必要が生じなかった。現状では機能はのこるも履歴ファイルは廃止。

●[ポストプロセス]=「後処理」ステップでは、当時の造船所の設備や工作法の差、定規/一品図での手マーキン、ネガ作画の投影マーキン、NCマーキン切断…に包括して対応するようにしてある。

なにせコンピュータでやるのなら、それらしく、いっそ手作業の延長でないことをやろう…の狙い眼が、読み取れるであろうか。

現在の[図3.2.1 曲り外板システムフロー]では、流れがブロックと単板の2つに分かれているが、これは背景である時代の技術変化とシステム適用を積み重ねてのメインテナンスの結果である。

例えば、現在の単板システムでは、単独で現尺現図の補助として使えるように、または修理船の外板取換え工事にも利用できるように、計測オフセット寸法の入力による[図3.2.8 単板システムフロー](次頁)の運用となっている。

近年は短納期建造のためか、中小造船所の中には、現尺現図フェアリング精度が悪化しているところが多い。[図3.2.9 フェアリング精度の目視法]で「落ち」の目盛りを拾ってみると、徐々に変化すべき「落ち」の差が、まま±10mmくらいは波打っているのが判る。

 

 

 

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