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その限られた方法:B面での「切直しフレーム線図」でも、B平面を表す1つの直線=切直しフレーム位置でのW.L線群の交点を求め、その点群を曲線に連ねる作業を重ねて、やっと得られるように、特別扱いするほかないほど面倒だった。

 

それを数値現図では、ガラリと変え得る。

空間の平面は3次元座標の数式では、ax+by+cz+d=0…ですべて表せるように、A面での切直しに統一できて、船体曲面を表す曲線群が、近似的に[図3.2.3 タブシル]に示すトレランスを押えた直線補間の点列に置換えてあれば、切直しとは、即[図3.2.4 直線と面の交点]に見る単純な解を求めることに帰する。トレランスを微細に取れば取るほど計算量は膨大になるが、そこはコンピュータ。キッチリやってくれるのである。(ちなみに、トレランス=0.5mmで、基本データから一品展開までの最終累積誤差≦1.5mm程度。)

この特別が普通になり、普通だったのが特別の場合になる数値化を、次には組立定盤の板継ぎ支持用治具に見てみよう。

 

077-1.gif

図3.2.3 タブシル

 

077-2.gif

図3.2.4 直線と面の交点

 

作画現図でのシーム位置帯鋼支持は、優先順として、

1]正面線図で定盤面が1線になるように、ブロック断面の傾きを見て決める。別冊『原寸型・定規』の[図5.1.7 シーム冶具]参照。

いわゆる「正面なり」なので、帯鋼は、その1線から外板線までの高さとなり、定盤面に鉛直に立てれるが、ブロックは長さ方向で傾斜する。傾斜が大きくなれば、

2]定盤面を傾斜の勾配量だけ正面で「落として」1線を複数等間隔の平行線にする。

そこで帯鋼を正面で拾えば、すべて定盤面に傾斜させて立てることになる。斜立ては荷重支持には危険であり、取付も面倒、支持精度も出ないので、

3]鉛直支持にしようとすれば、シーム位置での帯鋼実形は、個別の現図展開となる。

この作業は実に面倒で、よしんば支持位置が増えても「定点支持」がマシなほどで、実用にされたのを見たことがない。

このように鉛直支持の条件から普通は1]、特例として3]が普及してきた。

定点支持だと、固定の高さ調節式「ピン治具」が使える。

 

 

 

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