オーディネットの横断面位置で行われたフェアリング作業の最終結果は、フレーム位置で割り込まれたフレーム・オフセット数値データに補間されて、「フェアリング・ファイル」またの名「フレーム・オフセット・ファイル」に、セーブ: 収納される。
W.L/B.L間隔なども船型に応じて細かく割り込まれ、タンジェンシーなどの特異点も付加される。
各船のフェアリング・ファイルを船型特徴毎に分類整理して蓄積しておいて、新規計画船では近似の既存船ファイルを探して引き出せれば、モディファイして流用できる。さらに初期計画から、そのように意識されれば、都度の面倒なフェアリング作業は、大幅に合理化されよう。
フェアリング・データのファイリング様式は、船型の再現と以降のシステムでの必要で決まってくるが、基準はないからフェアリング・システムが異なれば当然異なってくる。
データの持ち方からして、Fr.L/W.L/B.Lなどの各曲線を、後のシステムが直線補間ですむように、トレランスを押さえた細かな点列: タブシルに分解して持つ、各曲線の交わる格子点のオフセットを持つ、両方を準備する…様々である。どちらが良いかは一概には言えない。料理をする前に素材の下拵えをして保管するか、素材のまま保管して料理のつど刻むか、時間にもよりけり、料理にもよりけり…であろう。
そこにシステム間の互換性の問題が生じる。
「造船のコンピュータ応用」における互換性のための標準化は、4半世紀前にISO: 国際標準化機構で取り上げられ、フェアリングを含む曲り外板関係は提案担当が日本となったので、造船学会システム技術委で検討して互換の中間様式を策定している。だがその後、ハードもソフトも事情は変転し、今なお適用に到らず進展もしていない。
実際には、個別システム間の必要性に応じて、特定のコンバータ: 変換プログラムを準備するか、普及している汎用システムのデータ様式を介するか…それなりに1対1互換を成り立たせている。
この問題は、単にフェアリングに止まらないので、広く数値現図でのシステム間データ交換としてまとめ、NC切断の章で解説することにする。
2.4 ランディング
数値現図では、フェアリング計算で求めたフレーム・オフセット・ファイルを利用して、船殻の板シーム、ガーダーやロンジなど主たる構造配置線を定義し、交点座標を求めている。これがランディングで、基本データの準備作業である。
ここから以降の事例は、すべて、パソコンシステム"あじさいPC"による。