このような作画のフェアリング業務を、コンピュータで実現するためには、特定の点を通る撓いバッテンの作る曲線を、等価な数学計算式で置き換えることになる。この計算式があれば、[図2.1.5 点列の補間]に見るように、特定した点列が連なった線となり、特定点以外の中間値も位置条件を挿入すれば計算できる。
図に言う「補間」とは、このように必要に応じて中間値が求まる意味で、この数学式を「補間式」とも称するが、ここでは分りやすく、先にイメージしたように「数値バッテン」と呼ぶことにしよう。
数値バッテンで描いた、つまり計算した曲線が、スプライン曲線である。
数値バッテンを使えば、コンピュータ画面上で作画フェアリングと同様な作業ができることは容易に理解できるであろう。画面は現図床よりずっと狭いが、画面表示は拡大縮小できるので、全体と詳細を交互に見れるからである。
さて、フェアリングの良否は、作画であろうと数値計算であろうと、フェアネス判断で決めるが、まだ「フェアーである」の条件の定説は無いようで、敢えて判断基準を示すとすれば、
1]どの曲線も見た目に無理が無く滑らかで、
2]それらの曲線が相互に作り出す曲面に矛盾がなく、
3]しかも曲加工が可能な曲面であることが望ましい。
と言うことになろうか。
夫々の曲線の傾向を眺め、それらの曲線が作る曲線同士の変化を追って、空間曲面をイメージし、工作性も考慮して判断するのである。
現図作画ではバッテン撓みなので、滑らかな流線形は直感で分るが、コンピュータ計算では画面が小さいので、この判断はかなり難しい。そこで、コンピューターの拡大・縮小・回転の機能を駆使して作業を行うが、さらには曲りの程度を定量的に捉える「曲率」と言うものを曲線と同時に表示して、この曲率の変化を見てフェアネスの判断基準にすることができる。
その評価を[画面2.1.1 フェアーでない曲線]と[画面2.1.2 フェアーな曲線]に示す。本書の印刷では、モノクロであるが、実際のコンピュータ画面上では、評価される曲線は水色で、曲率は赤色で、目立つように表示されている。