NCでは同時に異なった駆動をする制御対象の個数を「軸」といって数えるが、例として平面XYの2軸であれば[図1.1.4 NCの原理]に示すように、A点からB点への直線移動は、座標が絶対値[X,Y]で指令されても増分値(x,y)に換算し、同時2軸の回転によって行なわれる。
円弧の場合も同じで、与えられた半径によって、2軸へのパルス分配が変わるだけである。これらについては、その該当の章で、また改めて詳しく解説する。
1/10縮尺現図では、ネガ作図の誤差は現尺では一桁倍になる。造船では、NCの登場により、まずは精度の基となるネガの作画精度向上が、導入の標的として狙われた。
●加工現場の大仕掛けな設備更新を要しない(そのままでよい)
●トラブっても、いざとなれば手作画でカバーできる(及び腰でよい)
からである。
こうして現図場に、インプット読取り用のアナライザー: 座標解析機と、アウトプット用のNCドラフター: 自動作画機が導入されることになった。
アナライザーは、直交2軸を手操作で制御して発生パルスで座標を読み取るスキャナーで、同時は1軸駆動のNC。ドラフターは同時2軸駆動のNC、ペンの上下は固定値駆動なので制御軸に数えない。このように軸数に数えないが、NC指令で作動する機能を「補助機能」とよぶ。
*数値展開
こうして縮尺現図は、数値現図の先駆けとなった。
曲り外板現図作画の前段階である平面展開処理、曲りロンジフレーム定規や一品図のための逆直線展開処理など…コンピュータ応用が引き続いた。
展開計算は、すでに原寸数値であり、現尺/縮尺から独立した技術である。
1.1.3 数値現図の発展
鋼板切断機へのNCの適用は、切断の自動化を直接の目的として始まったのだが、折から建造船型の巨大化が顕著になり、その高精度が注目された。そして導入拡大が進んだ結果として、数値現図への移行を促進した。
その様子を、ざっと眺めておこう。